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賃貸物件の明渡しとは?強制執行の手続きやその際の注意点を解説

賃貸物件の明渡しは、契約終了に伴う重要な手続きのひとつです。
原状回復工事や残置物の処理など、さまざまな作業が必要となり、手順を誤るとトラブルの原因となることがあります。
本記事では、明渡しの基本的な手続きから強制執行の具体的な手順、注意すべきポイントまでを詳しく解説します。

不動産の明渡し手続きとは

不動産の引き渡し手続きは、借主が賃貸物件を家主へ返却する行為です。
実施に際しては、光熱費の精算や物件の原状回復が必須となります。
原状回復工事は一般的に、借主から費用を受け取った家主が行い、物件の状態確認のため借主の立ち会いが求められることがほとんどです。

明渡しと引き渡しとの違いとは

土地や建物の引き渡しは、所有者が借主へ物件の占有権を譲る手続きです。
不動産の受け渡しには、借主から家主への返却である明け渡しと、家主から借主への貸出である引き渡しの2種類があります。
物件の移動方向が異なる点が特徴です。

明渡しと立ち退きとの違いとは

賃貸物件の立ち退きは、家主からの要請で借主が退去する行為です。
家賃の滞納や契約違反の際に求められる強制退去である一方、明け渡しは物件の契約終了時の返却を指します。

明渡しの強制執行とは何か

物件の明け渡し強制執行は、法的手順に従って借主を退去させる手続きです。
この手続きでは、裁判所から任命された執行官が借主の占有を解除し、家主へ物件を返還することになります。

明渡しの強制執行に必要な条件について

明渡しの強制執行を実施するには、明渡し請求訴訟で勝訴することが前提です。
家賃の滞納を理由とする強制執行では、家主は借主への支払い督促を継続的に実施し、契約解除の意思を伝えた上で、内容証明郵便による通知が必要となります。

明渡し強制執行の具体的な手順

明渡しの強制執行は、法律で定められた手順に従って進めなくてはなりません。
物件の明け渡し強制執行は、4段階のプロセスで実施されます。
それぞれについて見ていきましょう。

強制執行の申し立てを行う

強制執行の開始には、裁判所への予納金支払いと申立書の提出が必要です。
執行官は物件や入居者の状況について、以下の項目を詳しく確認します。

確認項目

確認内容

居住状況

単身か家族世帯か

入居者属性

高齢者の有無や健康状態

リスク評価

実行時の抵抗の可能性

残置物量

予想される家財道具の量


手続きを円滑に進めるため、執行官との事前の情報共有が重要です。
執行当日は、執行官による鍵の交換と入居者の退去が実施されます。

物件の明渡しの催告をする

裁判所は強制執行の申立てを受けると、明渡し通知の日程を決定します。
物件の明渡し通知とは、裁判所の執行官が現地に赴き、居住者へ退去期限を説明する手順のことで、所要時間は10分〜20分程度です。
物件内に入るため、鍵の専門業者の同伴が必要です。
裁判所執行官は物件内に「公示書」を貼付し、居住者には実施日時を記載した「催告書」を渡します。
居住者が在宅の場合、明渡し実施日までに家財道具を搬出し退去するよう説明を行います。

物件の明渡しを執行する

明渡し通知から約3週間後に、強制的な明渡し手続きを執行します。
物件内の家財道具を搬出するため、専門の執行業者がトラックや梱包資材、作業員を手配が必要です。
搬出作業は12時間程度で完了し、家財道具は所有者が用意した保管場所か執行業者の契約倉庫で保管します。

残された家財道具の保管と処分を行う

明渡し後の家財道具は居住者の引き取りに備え、原則として1か月間の倉庫保管が必要です。
保管期間を過ぎても引き取りがない場合は、売却や廃棄を行います。
ただし、居住者の長期不在や不要品のみの場合は、明渡し時に売却できる「即時売却」を行うことで倉庫費用の節約が可能です。

明渡しの際に注意すべきポイント

物件の明渡しでは原状回復工事に関するトラブルが多く発生します。
工事範囲や工期の遅れなど、注意すべきポイントを以下で見ていきましょう。

原状回復工事の際には内容を確認する

原状回復工事は、賃貸借契約書に記載された内容を基準に実施します。
ただし、貸主から別途指示がある場合は、その内容が優先されることがあります。
居抜き物件で入居した場合は、特に注意が必要です。
すでに内装が整備された状態での入居であっても、契約書にスケルトン工事の記載がある場合は、明渡し時にスケルトン工事が必須です。
内装がある状態での入居であることを理由に、原状回復工事の範囲を誤解しないよう気をつける必要があります。

原状回復工事の見積り立会いを行う

見積りの際は、借主だけでなく貸主や所有者の立会いを依頼することが重要です。
両者で工事内容の認識を合わせることで、追加工事などのトラブルを防ぎ、工事範囲の一部免除も期待できます。

明渡し期限を厳守する

期日までに原状回復工事を完了し、借主の所有物をすべて撤去した状態で物件を引き渡すことが必要です。
工期の遅延により期限に間に合わない場合、損害賠償請求などが発生する可能性があるため、計画的な工事進行と物品撤去が重要となります。

まとめ

不動産の明渡しは、借主が賃貸物件を家主へ返却する重要な手続きです。
引き渡しや立ち退きとは異なり、契約終了時の返却を指します。
強制執行が必要な場合は、裁判所を通じた法的手続きに従って進める必要があります。
また、原状回復工事の範囲確認や期限厳守が注意すべきポイントです。
明渡しに関するトラブルを避けるため、不安な点がある場合は、早めに弁護士に相談することがおすすめです。

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資格者紹介

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代表弁護士

大村 典央(おおむら のりお)

  • 第二東京弁護士会所属 刑事弁護委員会、裁判員センター委員会所属
  • 第三次大崎事件再審弁護団所属(日本弁護士連合会委嘱委員)
  • SBS(揺さぶられっ子症候群)検証プロジェクト所属
  • 元IPJ(Innocence Project Japan)委員
  • 第二東京弁護士会弁護士業務妨害対策委員会幹事

勤務弁護士

金本 忍(かねもと しのぶ)

  • 第二東京弁護士会所属

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