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不動産売買における「契約不適合責任」とは?基礎知識や行使できる権利を解説

不動産取引における購入者保護が大きく変わりました。

2020年からスタートした契約不適合責任制度は、購入者の利益を守る新たな枠組みとなっています。

従前の制度と比べて、購入者がより広範な保護を受けられる制度へと生まれ変わりました。

本記事では、契約不適合責任の基本的な内容から具体的な権利、販売者が責任を負わない場合の条件まで、わかりやすく解説します。

不動産売買契約における契約不適合責任の基礎知識

不動産を購入する際に把握しておきたい契約不適合責任について、基本的な知識と瑕疵担保責任からの変更点をわかりやすく解説します。

契約不適合責任の定義

契約不適合責任は、購入した不動産が売買契約で定めた内容と異なる場合に、販売者が負う法的責任です。

購入物件の品質基準や面積などについて、契約内容との不一致の場合の販売者の責任範囲を、民法第562条から第564条で明確に規定されています。

さらに民法第565条では、不動産の権利関係が契約内容と一致しない場合における販売者の責任についても詳しく定められています。

瑕疵担保責任と異なる点

民法改正により、2020年から瑕疵担保責任に代わって契約不適合責任制度が導入されました。

瑕疵担保責任では、不動産の隠れた不具合(瑕疵)だけが対象となり、その判断基準があいまいで紛争の原因となりがちでした。

現行の制度では、売買契約の内容と実際の物件状態の一致が基準になります。

購入者は保護される範囲が広がり、販売者の責任も明確な形で定められました。

契約不適合責任における購入者の請求権

契約不適合責任のもとで購入者が販売者に請求できる5つの権利について、詳しくみていきましょう。

損害賠償請求

契約不適合責任では、損害賠償の仕組みが従来と比べて大きく変更されました。

賠償の範囲は「履行利益」まで広がり、購入者への保護体制が強化されています。

具体的な例をあげると、建物建築を目的とした土地購入において、契約内容と異なる土地が引き渡された場合、すでに購入していた建材費用なども賠償の対象です。

一方で、新制度における賠償責任は販売者の故意または過失がある場合に限定されます。

ただし賠償範囲が拡大されたことにより、販売者が負う責任は実質的に重くなっています。

追完請求

契約不適合責任では、購入者に新しい権利として追完請求権が与えられました。

物件の状態が売買契約の内容と異なる場合、購入者は販売者に対して契約どおりの状態で引渡しを求めることができます。

不動産取引の現場では、この追完請求権は建物の修繕工事を求める形で使われることが一般的です。

たとえば、雨漏りがないという条件で購入した建物に雨漏りが発見された際、購入者は販売者に修理の実施を請求できます。

催告解除

契約不適合責任において、購入者には催告解除の権利が認められています。

追完請求や代金減額の要求に販売者が応じない場合、購入者は対応期限を設定して通知し、期限を過ぎても適切な対応がないときは契約を解除が可能です。

無催告解除

契約不適合責任では、販売者が契約内容の履行を明確に拒んだ場合や履行が不可能だと表明した際、購入者は無催告解除という権利を行使できます。

催告解除とは異なり、事前の期限設定や通知なしで、ただちに契約解除が可能です。

具体例をあげると、販売者が物件の修繕費用を支払えないと明言した場合、購入者はすぐに契約を解除する選択肢を取ることができます。

代金減額請求

契約不適合責任では、購入者の新たな権利として代金減額請求権が設けられました。

売買物件に契約内容との不一致があり、販売者が修理に応じない場合、購入者は不具合の程度に応じた金額の減額を求めることができます。

たとえば、建物の設備に故障があり販売者が修理要求に応じないとき、購入者はその故障の程度に見合った金額の減額を請求することが可能です。

契約不適合責任の免責について

契約不適合責任における販売者の免責には、売買契約書への明確な免責条項の記載が不可欠です。

ただし、免責が認められるのは、販売者が物件の不具合を事前に知らなかった場合だけとなります。

代表的な免責対象は以下のとおりです。

 

免責項目

具体例

害虫被害

シロアリ被害

漏水問題

雨漏り、水道管の漏水

建物劣化

木材の腐食

設備不具合

電気系統の故障


販売者が物件の不具合を知りながら、購入者へ説明しなかった場合、契約書に免責条項があっても責任を免れることはできません。
適正な不動産取引を進めるため、販売者は宅建業者への正確な情報提供と、適切な告知書類の作成が必要です。

まとめ

2020年の民法改正により導入された契約不適合責任制度は、不動産取引における購入者の権利を大きく強化しました。
旧制度である瑕疵担保責任と比べて、購入者の保護範囲が広がっています。

新制度のもとで、購入者には損害賠償請求権、追完請求権、催告解除権、無催告解除権、減額請求権が認められています。

なお販売者は、契約書に免責事項を設けることが可能です。
ただし物件の不具合を知りながら購入者に説明しなかった場合、その免責条項は無効になります。

不動産取引のトラブルでお困りの際は、早めの段階で弁護士などの専門家へのご相談をおすすめします。

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資格者紹介

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代表弁護士

大村 典央(おおむら のりお)

  • 第二東京弁護士会所属 刑事弁護委員会、裁判員センター委員会所属
  • 第三次大崎事件再審弁護団所属(日本弁護士連合会委嘱委員)
  • SBS(揺さぶられっ子症候群)検証プロジェクト所属
  • 元IPJ(Innocence Project Japan)委員
  • 第二東京弁護士会弁護士業務妨害対策委員会幹事

勤務弁護士

金本 忍(かねもと しのぶ)

  • 第二東京弁護士会所属

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