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傷害罪とは?暴行罪との違いや時効についてわかりやすく解説

ニュースで取り上げられやすい事件として、殺人、傷害、暴行などの事件が挙げられます。

しかしながら、傷害と暴行の違いは意外と知られていません。

本記事では、傷害罪と暴行罪の違いや時効について詳しく解説をしていきます。

傷害罪とは

傷害罪とは刑法204条に規定されている犯罪となります。

 

刑法第204

人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 

ここで、どのような行為が「傷害」にあたるのか、明確な定義が必要となります。

 

最高裁判決昭和2766日刑集66795にて、その定義が明らかにされています。

「傷害とは、他人の生命の生理的機能を毀損するものである」と判決にて定義されました。

 

生理的機能を毀損すればそこで傷害が成立するため、これは外傷を与えたかどうかで決定するものではありません。

最高裁決定平成24724日刑集668709においては、嫌がらせなどによって相手をPTSDと呼ばれるストレス障害を負わせた場合であっても、傷害罪が成立するとの判断が示されました。

 

傷害罪と暴行罪の違い

暴行罪は刑法208条に規定されている犯罪であり、条文は以下の通りとなっています。

 

刑法第208

暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

 

この条文の構造から読み取れるように、暴行の方が傷害よりも程度の軽いものであることがわかります。

 

暴行の定義も傷害の定義と同じく、定義が明らかにされています。

大審院判決昭和8415日刑集12427において、「暴行とは人の身体に対する不法な攻撃方法の一切をいう」とされています。

 

何かしら他人に対して不法な有形力を行使した結果、他人の身体の生理的機能を害するほどまでに至らなかった場合に、暴行罪が成立することとなります。

 

過去の判例では、ある宗教の儀式として、嫌がっている人に対して塩を振りかける行為に暴行罪が成立しました。

この判例は暴行罪と傷害罪の境界が非常にわかりやすいものとなっているのではないでしょうか。

実際に塩を振りまいたぐらいでは、身体の生理的機能が害されるほどの攻撃とはなりません。

しかしながら、嫌がっている相手に何かしらの有形力を行使したことで暴行罪は成立するとしている点で、傷害との区別が明確化されています。

 

またその他にも、無断で毛髪を切断した事案において傷害罪の成立が争われた判例があります。

上記で示した基準で考えると、毛髪の切断では身体の生理的機能を害するほどのものとはいえないことがわかると思います。

判例も同様の判断基準に基づいて、毛髪の切断に傷害罪は成立しないものの、暴行罪は成立すると判断を示しています。

 

もっとも、相手に怪我を負わせるつもりはなかった場合には、暴行罪と傷害罪のどちらが成立するのか、といった点が気になる方もいらっしゃると思います。

傷害罪は暴行罪の結果的加重犯と呼ばれる犯罪類型になっています。

結果的加重犯とは、意図していた犯罪の結果よりも重い犯罪が成立してしまった場合に、重い犯罪によって処罰をする、という考えのものとなっています。

したがって、相手に怪我を負わせるつもりはなかった場合であっても、傷害罪が成立することとなります。

 

傷害罪の時効

公訴時効と呼ばれる概念について耳にされたことはあるでしょうか。

公訴時効とは、犯罪が終わった時から一定期間を過ぎると犯人を処罰することができなくなる(検察官が起訴することが出来なくなる)という定めのことをいいます。

 

公訴時効は犯罪の刑の重さでその期間が決定されています。

 

傷害罪の条文を上記で示しましたが、その刑の重さは15年以下の懲役または50万円以下の罰金とされています。

 

15年以下の懲役に当たる傷害罪は、刑事訴訟法25023号によると10年が公訴時効の期間となります。

 

公訴時効の計算はどこから開始するのかということも、当然の疑問として思い浮かぶと思います。

公訴時効は犯罪の結果が発生した時点から計算することとなります。

そのため、傷害罪の場合には、暴行によって相手の身体の生理的機能を害した段階で時効がスタートすることとなります。

 

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